「まあ、半分ヤケで美咲と付き合ったんだろうけど・・・」


「けど?」


一呼吸置いて、紗知は言った。


「諦めなよ。悠真はきっと、新しい恋を見てるだろうから」


諦める?


そっか。


好きって気付いた時には、遅かったってわけか・・・。


「ねえ、瞬司にも電話してあげて?かなり心配してたから」


「うん。ありがとう。紗知」


そう言って電話を切った。


携帯を呆然と見つめながら、紗知の言葉を思い出す。


いつだって、私の事を考えてくれるもんね。


その紗知が諦めろって言ったって事は、ハタから見て、もう見込みがないって事なんだ・・・。


もっと、自分の気持ちに素直になれば良かった。


いつも近くに居たのに。


子供の頃から側にいたのに・・・。


そう考えたら、また涙が溢れて止まらなかった。