まだ桜が咲き始めた肌寒い春、僕は中学校の門をくぐった。

ぶかぶかの学生服に身を包み、しっくりこない新品の靴を履き入学式への受付に急いだ。

まわりではお馴染みの顔とそうでない顔がいる。
僕が通っていた中学校では、二つの小学校が合併して一つの公立中学校に通うからだ。

だから小学校を卒業した後、まわりの子達は中学校に対しての期待感は少なからずあったと思う。

その点、小さい頃から人見知りで人付き合いが苦手な僕は期待どころか、不安しか頭になかった。