※※

本格的な夏を感じられるようになった7月中旬、照りつける太陽が強烈な熱気でアスファルトを焦がしていく。

朝練のサッカー部がグラウンドに撒いた筈の打ち水の意味も今や見る影を潜めて、体育会系独特の熱気がグラウンドを包んでいた。

「暑い…こんな暑い中でよく走ってられるなぁ…。」

湯川君はグラウンドを眺めながら呟いた。

グラウンドでは掛け声をあげるサッカー部員がボールを蹴りあげている最中だった。

「ふーみん、アンタねぇクーラーの効いてる部屋の中でそんな事言うわけ?」

「言うだけならタダだから良いジャン。それにお前だってここにいながらさっきまで机に伏せてたじゃないか。」

「その時はクーラー効いて無かったからでしょ。今は丁度いい感じじゃないの。」

「これが?28度設定のクーラーで丁度いいなんてお前相当な冷え症だな。」

「それとこれとは関係ないでしょ。」

「もしかして、もうコタツ出してるんじゃないだろうな?冬場は何で暖を取ってるんだ?」