「ハァ…ハァ……」
やっと唇が解放された。
「どうしてこんなことするのよっ!あたしに構わないで!冗談でも…こんなのヒドすぎる」
怒りながら、目頭が熱くなってくる。
彼の前で泣きたくないのに……。
「冗談なんかで、こんなことするか!ずっと、オレは……」
「あたしのことを知ってるとでもまた言いたいの?」
「それもあるけど、そうじゃねぇよ!」
「じゃあ、なによ!」
我慢できなくなって、瞳から一筋、頬に涙が流れた。
「冗談じゃねぇし、からかってなんかねぇよ。……頼むから泣かないでくれよ。オレは……」
だんだん小さく聞き取りにくくなったけど、そう聞こえた。
そして、ぎこちない指で頬に伝った涙を拭ってくれた…その後だった。
「美桜が好きだからに決まってんだろ!言わなくてもわかれよ」
そう告白をしてきて、五十嵐くんがあたしの肩に弱々しく頭をのせてきたのは。
あたしのことを……好き?
「バカなこと言わないでよ」
本気じゃないってわかってるのに。
その言葉に胸の鼓動が敏感に反応してどんどん速くなっいく。
「どう言えば…オレの気持ち。美桜にわかるんだよ?」

![スウィートレッスン[おまけ]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.758/img/book/genre1.png)
