───────────・・・



先生が連れて来てくれたのは、ピアノの演奏が聴けるオシャレなバー。


真っ暗な店の中、2人でカウンターの席に並んで座る。


しばらくの間はアルコールを飲みながら、佐野先生と話をして、ピアノの演奏を楽しんでいたんだけど……。


今はピアノの演奏のことなんて忘れちゃってる。



「古賀先生、ちょっとピッチ早くない?」


「だ、だい…大丈夫です」



もともと、そんなにアルコールが強い方じゃないあたし。


それなのに頭に思い出したくない…アイツの顔が何度も浮かんでくるから、甘いフルーツのカクテルを次々と頼んで飲んでしまっていた。



「ゴホ…ゴホ…ッ」


「ホントに大丈夫?」



それからすぐに視点が定まらなくて、まるで空を飛んでるみたいに体がふわふわと揺れはじめた。