「佐野先生、ちょっとだけだったら…今日やっぱりお話聞きます」


「えっ」


なに言ってるのって、自分でもビックリした。


自分でもよくわからないうちに、あたしの口が勝手にそう喋っていたんだ。


「古賀先生、いいの?」


佐野先生は目を倍増させてかなり驚いている。


「佐野ちゃん、よかったじゃない!このことは秘密にしといてあげるから、2人で仲良くねっ!ねぇ、悠真~よく見たら2人ってお似合いだよね」



嬉しそうに話す女の子を無視してあたしをじっと見ている視線が……痛い。


けど、そんなのあたしにはなんの関係もないこと。



「佐野先生、早く行きましょう」


だから、その視線を避けるように2人に背を向けて歩き出した。


「あっ、古賀先生ちょっと待ってよ!お前ら、気をつけて帰れよ」


「はーいっ!佐野ちゃんはがんばってね」


「おう」



こうやって、あたしは2年振りに男の人と2人で一緒に出かけた。