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「はぁ……」
今日も朝から疲れちゃった。
あんなふうに毎朝、五十嵐くんは決まってあたしの前に現われる。
もっと、遅い時間のバスで学校に間に合うのにどうして?
あんな早い時間、他の生徒は誰もバスに乗ってこないのに。
あたしは新人だから学校に早く来ていろいろやることがあるけど、五十嵐くんは学校に早く来ていったいなにやってんだろ?
あっ、そっかそっか。そんなの考えるだけ無駄かー。きっと寝てる気がする。
……って、あぁーーっ!!
あたしってば、なんで五十嵐くんのことなんて考えてるの?
誰かに心を乱されるなんて、もうイヤッ!!
それにあたしは1人でいるのが好きなんだから!
「だから、ここは誰もやって来ないから…好き」
学校に赴任して、すぐに見つけた隠れ家。南館の3階の1番奥にある音楽室。
この音楽室、すごく離れた不便なところにあるんだよね。
帰りまでカギも開いたままだし。
「ここは学校で唯一ゆっくり1人になれる場所。ほっとする…」
静かな音楽室の中、机に伏せてのんびり日なたぼっこでもしようと瞼を閉じると、ガラッと大きな音がして入り口の扉が開いた。

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