そう言われて、手首を強く掴まれていたのは。 「なに言ってるの?なにも知らないくせに……。離してよっ!」 全部、忘れさせてやるなんて──・・・ あたしが心に受けた深い傷を知ってるみたいな言い方しないで欲しい。 そんな簡単なもんじゃない。 勝手なことばかり言う彼の顔を睨みつけてるはずだったのに 「…………」 不覚にも、目の前にある顔に見惚れてしまっていたんだ。