「椛」 低く冷たい声音。 意思とは無関係にびくりと身体が跳ねた。 怖い。 こんなの、恢じゃない。 「…………んて…」 「……え?」 ぼそりと小さな声で、恢は呟いた。 よく聞こえなかったそれを聞き返すと、荒い手付きでぐっと手首を掴まれた。 い、痛いっ…! 振りほどこうともがくと、怒りを爆発させたように恢は叫んだ。 「春なんて来ねぇよっ!!!!!!」