「ハンカチ出すときに落としてたよ」



にっこり。


それはもう素敵な笑顔で、睦くんはさらっと言い放った。

わたしの顔は、言われなくても真っ赤だ。


だって、あのお願い事を見られてしまったんだから。



「きゃあああああっ!り、りくくっ、あの、これっ…!!!」

「椛ちゃん、拾ったのがオレでよかったね」

「あ、あんまり良くないよ…!!お、お願い!内緒にしてっ…!」

「大丈夫、わかってるよ。誰にも言わないから」



わたしの手にしっかりと桜のメモを握らせ、睦くんは嬉しそうに目元を緩めた。