春は来ないと、彼が言った。



声に驚いてびくっと肩を揺らした恢が、責めるような目をわたしに向けた。



「…やっぱ心当たりあんじゃねーか…」



苦虫を噛み潰したような表情で恢が呟く。

わたしは千切れんばかりの勢いで首を横に振った。



「ちがっ、あれはちがうよ!!!ほっぺにされたの!しかも一瞬!!!」



さっきの比じゃないくらいの大声だった。


今さら恥ずかしくもない。

早く恢の誤解を解かなきゃって焦ってる。