春は来ないと、彼が言った。



「…っ、あの日……廊下で睦とキスしてただろ!?…俺、椛が遅いから心配して見に行ったんだ。……それ見たら…頭に血が上って……だから抑えが効かなくなって……椛に、あんなこと…しちまって…」



まるで懺悔でもするように。

苦しそうに顔を歪めた恢が、一音一音を区切りながらゆっくりと言葉を紡いだ。


わたしの頭はその言葉を理解するのに必死で。

え?

どういうこと?



「…………しかも俺のは拒むし。やっぱ睦じゃなきゃ嫌なのかよって思ったら、なおさら…」



キスって言った?

あのキス?

…………わたしと睦くんが、キス?