春は来ないと、彼が言った。



「………すげぇ……すっげぇよ!!見てたか、椛!あの蕾が綻ぶ瞬間!!!すっげー!!なんだよあれ、いつも花ってあんなスピードで咲いてんのか!?ありえねぇよな…!!あー、撮影しときゃよかった!!なぁ、椛!返事ないけど…聞いてんのか?」



あ、やばい。

桜の開花以上に、心、持ってかれた。




恢の―――満開の笑顔に。




「ふふっ…恢、すっごい笑顔だよ!!」



堪えきれず笑い声を漏らすと、恢がはっとしたように口元を結んだ。

顔はやっぱり赤くなってる。

…あははっ…!