春は来ないと、彼が言った。



ガタン、ゴトン。


まるで電車にでも乗っているような気分。

石ころや僅かな段差があるたび、身体と自転車が上下に揺れる。


漕ぎ出して15分するかしないか。

さっきとは違い、今度はゆっくりと恢がブレーキをかけた。

キキーッとタイヤが地面を擦り、砂埃が舞う。


そっと恢の腰から手を離した。

それすらも名残惜しく感じてしまった自分に苦笑する。