春は来ないと、彼が言った。



なんだか今は恢に話しかけない方が良い気がして。


わたしは黙ったまま、速いスピードで流れていく景色を眺めていた。

見慣れない春の花がちらほらと咲いている。


赤やオレンジ、ピンクに紫。


鮮やかな彩りが目を楽しませ、微かに香る花の匂いが心を躍らせる。

空き地を横切ったときには、黄色いたんぽぽまで見つけた。



…本当に、春が来たんだね。