春は来ないと、彼が言った。



こんなにぽかぽかしてるのに、暑いのかな?

どうしても気になって、目の前の大きな背中に話しかけた。



「……か、恢…その…どうして耳、赤」

「だー!なにも言うな!!こ、漕ぐからなっ!!」



叫ぶように言った後、ガコンッとペダルを強く踏んだ音がした。

身体がわずかに揺れる。

恢の照れ隠しの仕方にこっそり笑った。