「お、お待たせ!!」 「…ん。そんな急がなくても良いのにな」 しれっとそんなことを言う恢の頭を叩いてやりたかった。 恢の所為だよ、ばか! だってちょっとでも目を離したら、いなくなっちゃいそうで…。 すごく。 すごく、怖かったんだよ。 そんなこと言えるはずもなく、まだ寝癖の残った髪を手で何度か梳いた。 「後ろ、寝癖ついてる」