春は来ないと、彼が言った。



寂しそうで苦しそうで―――



走馬灯のように忙しなく脳裏を過ぎる、恢の様々な表情。

その中でも印象的なのは…去り際に、眉を下げて振り向いたあの瞬間。


もし、あのとき。


わたしが立ち上がってなりふり構わず恢を抱き締めていたら。






なにか、変わったのかな。






「……………泣きそうな顔、してたよ」



…それはわたしの方、かもね。