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―――朝がやってきた。






閉まったカーテンの隙間から零れる僅かな朝日に目を細め、意識を無理やり覚醒させた。


薄暗がりの中、枕元にぽんぽん手を這わす。

こつんと掌に収まった無機物を掴み、顔の前まで持ってくる。


花の形を模した小さな目覚まし時計の針は、5時17分を指していた。



…これは去年の誕生日に恢がくれたんだよね。



霞がかった脳でそう処理し、もぞもぞと寝返りを打つ。


まだ早いからもう一眠りしようとしたところで、ふと違和感を覚えた。