その辺にあったみかんの皮を剥いていた。


「やっぱコタツにはみかんやな」


「そうかい?
僕はお鍋だと思うけどね!」


「それもそやけど、
この状況でお鍋すんのもおかしいやろ!」


みかんを一粒食べる。
美味い。




「あのさ…」


妖精の顔つきが変わった。



「…ん?」



私はみかんを次々に口に入れていた。



「僕…ミッキーに逢えて良かったよ」





………へ?



「え…いきなり何?」



「感謝してるんだ」



「いやあのさ…」



その時、
みかんが床に落ちた。



妖精が私の両手を握って、
こっちを見ている。



「な…
何なん?気持ち悪いなあ…」




「…ありがとう。」



何が『ありがとう』なのか、
どうゆう理由で私に逢えて良かったというのか…。



それを知るのは、
もう少し後の事だった。




この瞬間は、
その事を知らなくても


顔は真っ赤だった。