ジリジリとした暑さが、
皮膚を刺激する。


学校までの道のりでほのかに焼けている。


「日焼け止めの意味無いやん」


私はそう呟くと、
荷物を肩から降ろした。


夏合宿で海に行く。
海と言っても、遊べないんだろうなあ。


そう思うと、
料理を目の前にして、食べれない心境と一緒。


私は深くため息をついた。




「ミッキー!」



………ん?



「ミッキーも来ていたのかい?
奇遇だね。

ははははは…」



な、
なんで妖精がここに…



コイツ絶対空手部ちゃうやろ。



「あ、岩松くんは私が誘ったの。
友達が空手部だから、どうかなって」


と、のり姉が言う。



「…友達?」



私は辺りを見渡した。



「俺の事だよ」


そこにいたのは夏男だった。
なるほど、コイツか…。



妖精は、
まだのり姉が好きなのだろうか?


そんな事を考えながらバスへと乗り込んだ。