「カラオケの機械があるのかい?
じゃあ僕のオンステージだね!!」



「お前、
マイク独占すんじゃねえぞっ!!」



…また、
妖精とゴリは言い合ってる…。



「もしや、
ゴリーチャーも歌うのかい?

はははっ!
誰もゴリーチャーの歌声なんか聞きたくないよ!」



狭いバス車内で、
妖精とゴリは追いかけっこしている。



「岩松くんてやっぱ面白いなあ」



隣でのり姉はクスクスと笑っている。



…やめよう。
さっきの夢の事を深く考えるのは。



そう思い、
私は再び目を閉じた。

ゴリと妖精がマイクを取り合っていた頃、


私は再び夢の中につこうとしていた。




――――ガンッッ!!




ヤツらが取り合ったマイクが何故か私の頭に当たった。




キィーン……
と変な音が鳴っている。


私の頭に当たった拍子にスイッチが入ってしまった様だ。



「わー!!
桜井っ!大丈夫か!?

ごめんな!手滑らして…」



ゴリが私に謝りに来る。



めちゃくちゃ痛いねんけど……


私は涙目になっていた。


「ゴリーチャーもこう言っている事だし、
許してあげなよ!」



妖精はハハハと笑いながら近付いてくる。



「お前も謝れよ!」



ゴリは妖精の頭を叩いた。





『ぇえから寝かせろ!!!』



キィイーンと音を出して、
バス車内にはマイクからの音が響き渡った。