「なーなー。
この学ランどこで売ってんの?」



兄貴…
着たいん!?



嫌や…
そんな兄貴嫌や…



私は小さくため息をついた。

「なーなー!
この白馬ってもしかして王子の?」



兄貴は妖精の事を『王子』と呼ぶ事にしたらしい。



「そうなんですよ。
ケインっていうんです」



「なら、『小杉』って呼ばなな!!」



…やばい。
兄貴と発想が一緒や。




「美希ちゃん」



染五郎さんは私の肩を叩いた。



「光太…
最近、大丈夫かな?

変じゃない?」



え…。
いつも変ですけど?



…なんて言えない……



「え、
いつも通りじゃないですか?」



「そっか…」




………?
何かあるんかな?



「何か、あるんですか?」



私がそう言うと染五郎さんは少し笑った。




「ううん。
何でも…

美希ちゃん。
光太と仲良くしてやってね」



「は…はい?」




染五郎さんは、
結局何が言いたかったんだろう?




それを聞けぬまま、
私達はコンビニを後にした。