「桜井先生のこと、
本当にありがとう。

ミッキーがいなかったら…多分
モヤモヤした気持ちがずっと、続いてたと思う。」



妖精は、
澄んだ瞳で、私も見つめた。



『審査員特別賞は―…』


校内放送が流れていても、
私は、妖精の話にしか集中できなかった。




「自分で告白するでもなく、
諦めるわけでみなく、

ズルズルと…ずっと思い続けてたと思う…」



少し下を見て、
唾を飲み、

もう一度こちらを向いた。



『優秀賞は、二組―…』



「でも今は、
ミッキーのお陰で、諦めがついた。」


「え?
諦められた?

ほんまに??」


妖精はゆっくりと頷いた。






『最優秀賞は―…』



校内放送で、
一番の賞が流れていても、

どうでも良かった。




「僕、
ミッキーが…



好きだから。」






少し、風が吹いた。私は顔を真っ赤にし、
フリーズして今の言葉を頭のなかでリピートした。




『最優秀賞は、
一年の…


岩松光太さんと、
桜井美希さんです。』




校内からの声も、
校内放送も、


私には、
まったく聞こえてこなかった。