神龍の宴 覚醒の春

鏡を見る度に吐き気がする。


自分の声を聞いても吐き気がする。



どこにぶつけていいのかわからない激情に、足元をさらわれそうになる。


けれど一つだけわかっている事……それは。どんな事態に陥っても凛を傷つけるような事があってはならない、ということだ。


凛は何も知らない。思い出せない。


その方がよいと思う一方で、もどかしさが喉の奥から溢れそうになる。


凛が幼い頃から悩まされ続けている、その夢の本当の意味を凛に教えてやりたい。


けれどそれも意味のない事だ。


背後から、開の乗った車の排気音が響いた。

開は爽を追い越しざま、一瞬だけこちらに目をやったが、すぐにアクセルを踏んで路地を曲がって行った。