『―…麗ちゃん、落ち着いて聞いてね? …お母さんは…自殺だって………』


携帯から聞こえる叔母さんの声。

力が抜けて携帯を落としかけた手に、力を入れる。


「…そう、ですか…… 分かりました。 わざわざ伝えて下さって、ありがとうございました」

『いえいえ。 麗ちゃん、やっぱり礼儀正しいわねぇ。 …辛いでしょうけど、嫌な事は早く忘れて、心機一転頑張りなさい』

「………はい。 じゃあ、失礼します」


叔母さんが何か言いかけたのを遮り、あたしは携帯のボタンを素早く押した。


「ははっ… 自殺?」


窓から入ってくる風があたしの髪をなびかせる。


ひんやりした冷たさがあたしに現実味を帯びさせてくれた。