あたしは放課後部活に顔を出した。
「マネージャーの1年、本間さえです!よろしくお願いします!!」
サッカー部は男子しかいないから緊張するなぁ。
「よろしくさえちゃん」
最初に話してくれたのは―・・・
「さ、智先輩!?」
「そーだけど・・・名前知ってるんだね」
「あ・・えっと・・・」
そうだよね。普通知らないよね。
「俺ってそんなに人気?」
智先輩は冗談半分に言う。
「おーい智ー!本間に手出すなよー」
先生も冗談を言う。
「大丈夫ですよー」
智先輩・・・笑うとちょーかわいい♡
「サッカー部は3年の先輩がいないから俺が部長なんだ」
「そ、そーなんですか!?」
「うん。楽しいからいいけど~」
「すごいですね!頑張ってください」
「ありがとう」
よし!気合いを入れて頑張ろう。
さっそく先生にいろんなことを聞いてマネージャーらしいことを言う。
「あと30秒!」
サッカーの練習試合のタイムを言う。
「智先輩ナイス~!」
やっぱり・・すごい!
何回も智先輩はシュートを決めてる。
うまいなぁー。
あたしがこんなにもサッカーに夢中になるなんて。
あたしは部員の人にタオルを配った。
「おつかれさまです!」
みんなすごい汗。
やっぱ、みんな本気なんだな。
あたしは智先輩に近寄った。
「智先輩すごいですね!」
「そっかな?」
「はい!」
「ありがとう」
先輩の言う『ありがとう』はあたしを嬉しくさせる。
・・・いつのまにかあたし・・・先輩の笑顔がもっと見たいって思うようになったなぁ。
まだ会ったばかりで何も知らないけど、先輩のこと好きだ。
もっと、もっと知りたい。
あたしのことも知ってほしい。
あたしは先輩に体を向けた。
「先輩」
「ん?」
「あたしのこと『さえ』って呼んでください」
「・・さえ?」
「はい」
「わかった」
少しでも仲良くなりたくて、ちゃんづけはやめてもらった。
ちょっとずつ、知ってもらおう。
あたしのことを。