パソコンを開き、
引き出しにしまってあるマウスパッドを取りだそうとして、…固まった。
「……土方」
「なんだ」
「今日は女が男にチョコレートをあげる日…だよな」
「あぁ……って、まさか」
「…………そのまさか」
引き出しの中はチョコレートでいっぱいだった。
男からの。
うーわー。
土方はなんとなく不機嫌になっていた。
ニコチンを吸引しながらイライラすんなよ。
「瑠偉」
「何」
「今日は女が男にチョコレートをあげる日だろ?」
「……そうだな」
「…お前、俺に――」
ガタンっと音をたてて私は立ち上がる。
「私今日出張だから、3時くらいに戻るって部長に言っとけ」
「あ、おい!」
三十六計逃げるに如かず。
いや、出張はマジだが、とりあえず逃走。