(……驚いてませんね) じーっとふたりを視界に捕え続けるが、特に変化はない。 「……」 (…そうです、きっと気のせいだったんですよ) うんうんとひとり頷く。 (隣に歩いているおばさんおじさんが発した言葉を、たまたま拾っちゃったんです) 空を仰ぎ、拳を力強く握る。 (無理矢理とか知りません。そんなの聞いてません) 目を瞑ると余計に先程の彼の台詞が頭を過るが、もう強引に納得することにした。