「解ったよ!」
俊は拗ねたように、そう吐き捨てると玲からパッと地図を取った。
「地図どうするの?」
「俺が持ってく。」
「俊だとまた無くすでしょ?僕持つよ?」
(…そうしたら先に…。)
「あ!じゃ私が持ってるよ!」
「玲、大変じゃない?僕が持ってるよ。」
(…その方が好都合だから。)
「いいよ!持ってる!」
「……。」
(…なぜか今日は玲も引き下がらないな。)
「…解った!!」
僕らのやり取りを見て、俊は急に大きな声をあげる。
「「え……?」」
「万里花、お前が持っとけよ。俺に散々言ったんだ、無くすなよ!」
そう言って俊は笑った。
「……私?」
「そ!」
((…それは困る!!))
「万里ちゃん大変だよね?私が持つよ!」
「万里花ちゃん大変だから、僕が持つよ。」
気付けば玲と二人で、同時に万里花ちゃんに攻め寄っていた。
「二人とも今日変じゃないか…?」
「「え……。」」
「いつも嫌がるのによ…。」
俊は不審がって僕たちを見る。
玲の動機は解らないけど、確かに僕には裏があるんだよな…。
野性の勘って怖いなぁ。
「しゅ、俊ちゃん気のせいだよ。」
「そうだよ。気のせいだよ。」
「…ふん?ま、いいや。」
そう言って、俊は地図を万里花ちゃんに渡した。
「よし!!解散!!また明日な!」
…あぁ。しまった。
こうなったら、どうやって先に取ろうかな…?
→続く。


