理恵の笑顔が憎らしかった。


「私、もう、行くね。」


文香は、病室を出た。


後ろで、理恵のしゃべり声が聞こえる。楽しそう・・・


廊下で、理恵のおばさんに会った。


「文香ちゃん、ごめんね。良太くんにも、言ったんだけど、あの子、今、精神的に不安

定で。。。とりあえず、卒業するまでは、良太くんに、あの子のそばに居てもらいたい

のよ。」


「聞いてたんですか?」


「廊下まで、聞こえてきたわ。」


「・・・」


何も言わずに文香はその場から立ち去った。






その夜、毎晩かかさずに、かかってきた、良太からの電話がなくて、別れた事を改め


て、痛感した。しばらくは信じられないだろう。私の日常のいつも横にいてくれた、良


太がもう、いないなんて・・・この幸せが続くことがあたりまえだと思うようになって


いた。あなたのすべてを見て、感じて、生きていくことが。それを今日、私は突然、全


て失っしまったのだ。今も、未来も。