月曜日、最初のチャイムが鳴り朝のホームルームが始まる。
山口文香はまださえない頭のまま、担任に名をよばれ、出席の返事をした。



高校に上がってからというもの、文香はなぜか全く勉強に身がはいらない。



まだ1年生の間は悪い成績でも補習でなんとかやってこれたし、落第まではいかなかったけれど、来年の受験を控えて、高校2年生も終わりになった今、さすがに、このままではまずいなと言う気持ちになっていた。


ホームルームが終わった後、文香は目を覚ますため、一階靴箱の前にある自販機で冷たいお茶を買った。


「寒っ」


外はちらちら雪がふっていて、一気に目が覚める。運動場ではマラソン大会にむけての特訓がはじまっている。


「こんな雪の日にたまんないよね」


そうつぶやいて、校舎の中に入ろうとしたとたん、、、



「きゃーっつ」ドタッ、カランカランカラン・・・



板に足を引っ掛けた文香は派手な音をたてて転んだ。




「大丈夫かぁ?」


その時前を通りかかった男子学生が飛んできて、文香をかかえ起こした。


「怪我はない?」


「ありがとう・・・。でもお茶が・・・」


買ったお茶は完全に缶だけになり、中身は板を敷いた石の床に撒き散らかっている。