「じゃあ、もうなくさないでね!」 奈緒はあえて始業式の日に見ていた事は話さなかった。 なんとなく、秘密にしていたかったのだ。 返事の代わりに手を振った三谷君に手を振り返して教室を出る。 よかった! 三谷君、すっごくいい人だ。 奈緒はオレンジ色の空に向かって一人、ニッコリ微笑んだ。 まだ少しドキドキしているのはきっと、たくさん綺麗な風景を見たせいだよね。