ハナウタ

「どうなんだろうなぁ…描きたいと、思えばまた描くんだろうなぁ」



紅茶をすすりながらカヤは言った。

香りの強いアールグレイだった。





「昔は…そうだなぁ、
僕は、一つの事柄から感じ取れる事が多かったから、
それが、ないまぜになっていた事をキャンバスに吐き出したようなものだったの」


ゆっくりと、確かに、カヤは当時の自分を解きほぐすようにして、確認するように話す。

そう言われて、作品を思い返してみれば、そうなのかもしれないな、と、なんとなく思う。


「でも、……正直言うと、それって…すごく、すごく疲れるから…………しばらくは、蓋をしていたいな」




そう言って柔らかく微笑むカヤを見て、泣いているように見えた、なんて、

俺には言えなかった。

過去の自分を恥じるように、悔やむように、苦さを含めて見せる微笑みは弱弱しくて、その場しのぎの言葉じゃないことがわかる。






ただ、
支えなきゃいけないと思った。


そのために、強くなろうと―…


「僕はね?アオ
強くなりたいんだ。
はっきりと言い切れるだけの、そう思えるだけの、ちょっとした矛盾とか、間違いでも、全部全部抱きしめられるくらいの強さが欲しいんだ。きっと…」



…同感だよ。カヤ。
でも俺とお前の違いは、俺にはそんなに自分を見失うほどの優しさを持ってないってことだ。
お前、優し過ぎるんだよ。
お前の優しさに、お前自身の心が追いつけてないんだよ。