それから私はカヤの傍を離れて、木賀西君をカヤから遠ざけるようによく話し掛けるようになり、

私は彼に告白して、付き合う事になった。





カヤは、一人で、美術部のアトリエに篭る事が多くなった。
付き合う事を彼女に伝えた時の彼女は、もう以前の彼女のような人間らしさはなかった。



彼女は、ただ微笑っていた。

曖昧に、表面的に、相手にわからない壁を築くように、ただ微笑んで、「よかったね」といった。





愚かな熱が冷めないまま、勝利を宣言するようにカヤの前に立った私は、その時ようやく自分のしでかした事に気が付いた。



















彼女が美術部のアトリエで自らの手首を切って、自殺未遂になり、飛行機に乗らなきゃ行けない名を聞いたこともないような町に引越したのは、それから2週間後の事だった。



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