「…ねぇ、木乃(コノ)」


ある日、彼女はそう私の愛称を呼んだ。


「どうして、人と人はぶつかるんだろ…」




それは、私達のような子供には実感の沸かない世界の事だったり、日常で見える私達自身の事を憂えた、カヤ自身の思いだった。


彼女は、どう思っていたのかわからないけど、私にとって彼女は親友だった。




泣き虫で、何かあるとすぐ泣いてしまう私を、彼女は合理的に、理論的に、なだめてくれた。



その態度の中にはいつも、私を心配する彼女の想いと、なんとかして元気を出させようとする不器用な想いがあって、私は何度も救われたのだ。





だけど、私は彼女を救ってあげていただろうか、

この疑問は、あの時も、今も、ずっと私の頭の中をぐるぐる、ぐるぐると回って堂々巡りになるばかりなのだ。




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