「名前、"カヤ"って読むのよね?」



ショートカットの髪は、青みのある焦げ茶、よく動いているその黒い瞳が、私だけを見たその一瞬は、周りの風景が止まったように思う程の力があった。


「うん。そう」


すぐに彼女は私から視線を外し、私の後ろの風景などをなんとなく眺めていた。







彼女の興味は広く、小学生ながらに自分とは遥か違う"何か"を見ている気がして、時々、怖かった。













中学校に入ると、カヤは美術部に入った。
彼女は小学校にいたころから絵を描いていたけど、中学に入ってからの彼女ののめり込み方は凄くて、油彩の抽象画を主に、カヤの描く絵はしょっちゅう賞をもらった。


彼女の絵には不思議な魅力が溢れてて、彼女の絵画のまえで一度立ち止まるとしばらくまったく動かなくなる人は多かった。