稟は少し不思議そうに

首を傾げ、玲を見る。

「すごいな、玲。何故そんなに

桜美組に詳しいんだ?」

「はぁ・・・。

稟、お前は成績良いくせに

集会の時の話とか、

全く聞いてない。

入学式の時に紹介してただろ。」

玲はため息混じりに答える。

「あ、新入生代表からずっと

成績は俺がトップ独占

してるけどな。」

稟の方を向き、嫌味っぽく微笑む。

稟は動きを止め、

キッと玲を睨んだ。

「うるさいっ!!

入試からったって、

数えられる程しかテストしてないだろう。

次の期末は玲を抜いて

私がトップに躍り出るから

覚悟しておくんだな。」

そう言ってスタスタと玲の前を行く。

「・・・そうか。なら。

連立方程式のxがどうとか

言ってたのは解決出来たのか。」

玲が小声で呟くと

前を行く稟の足が止まる。

そして、勢いよく振り返った

「・・・・・まだ・・・解けて・・ない。」

拗ねたように玲から目をそらし

言う稟の姿が無性に可愛く見え

玲は思わず、口を手で覆った。

「・・・教えてやってもいいぞ。」

くぐもった声で言うと

とたんに稟の目が輝き

満面の笑みが溢れた。

「いいのか!?ありがとう!」