戸惑い焦る一くんを無視したまま、柚希ちゃんは此方へと駆け寄ってきた。
私の手を両手で握ると、目を合わせる。
「先輩。今回は私の勘違いでご迷惑を掛けてしまって本当にすみませんでした」
「ううん、私は大丈夫だよ。まぁ仁達に後で色々とコキ使われるかもだけど…」
とりあえず、仁は確定。柊也と悠くんはわからないけど。
「…先輩は本当に優しくていい人ですね」
「え。そうかな」
「はい。ずっとずっと見てきたのでわかります。私、先輩のことが好きですから…いえ、大好きです」
「あはは、有難う。柚希ちゃん」
柚希ちゃんは手を握る力を強め、顔も先程より近付けてきた。
「先輩。私の好き、は先輩の思っている好きではありませんからね」
「え?」
「尊敬や憧れとしても先輩のことが好きですが、恋愛感情としても先輩のことが好きなので」
「…え?」
にっこりと笑い、私から離れる。
そして私と柚希ちゃんが最初に入ってきたところの床を開けた。
「ここから帰れます。私についてきてくださいね、私に先を越された方達♪」

