柚希ちゃんは腕時計を見て、確認する。


「ここまで来れたことは見直します。ですが、残念ながらゲームオーバーですね。来るのにかかった時間は32分…制限時間の30分は過ぎました」

「たった2分しか違わねーだろ!」

「何分だろうが時間は時間です。それに、部外者が2名ほどいますしね。1人でくること、誰かに漏らしてはいけない、と言ったはずです」


身体を私の方から皆の方へ向けると、ポケットから何かのリモコンのような物を取り出した。

そのリモコンについているボタンを押す。


「おわっ!?」

「なんですか急に!?」


すると、柊也と悠くんと仁と一くんは上から落ちてきた網に捕まる。

網に捕まっていなかったいつきくんと凪さんは、突然現れたロボットのような物に後ろから取り押さえられた。


「いつき!!凪!!」

「若、必ず助けに行くので待っていてください!」

「柊也様、私もすぐに行きますが、静音様を頼みます」


そのまま引きずるように2人をどこかへと連れて行く。


「柚希ちゃん!凪さんといつきくんは!?」

「外に出すだけですよ。あのお二方は特に関係ありませんから」


いつきくんや凪さんは関係ない?

ということは、私をこんなに風に拘束したのと、残った柊也達はなにか関係があるということなのだろうか。


「なんでこんなことを?柊也達まで来ているのはどうして?」


その問いかけに、柚希ちゃんは私の方へと向いた。

微笑んでいるが、どことなく悲しそうな顔…


「全部先輩の為です」

「私の為…?」

「はい。私はずっと…あの日からずっと先輩を見守ってきました」

「え…?」


私の為にこんなことを?

そして、あの日からずっと?…あの日?

柚希ちゃんは私からまた柊也達の方へと目線を戻す。