柚希ちゃんは此方側は見ずに、たくさん画面のある前の椅子へ座る。


「柚希ちゃん……?」

「ん?先輩?やっと目が覚めたんですね」


私の声に反応し、立ち上がると此方へと近づいてくる。

そして私の前で腰を下ろし、微笑んだ。


「先輩、安心してくださいね。もう先輩が傷つくようなことはありませんから…私が絶対に守りますからね」

「え?」

「手…痛いかもしれませんが、あと少しの辛抱です。あ、何か喉が渇いたりお腹空いたりしていませんか?私が食べさせてあげるのでなんでも言ってください!」

「えっと…いやいや柚希ちゃん?私、今の状況がよくわからないんだけど」

「先輩が心配する必要は全くないですよ。すべて私に任せてください」


ん?ん?

どうしよう本当にわけがわからない。

今の私の状況を見てこんなに平然に話をしているってことは、この手錠とかをしたのは柚希ちゃんってことだよね?

どうして柚希ちゃんが私にこんなことをするんだろう。

っていうか守るってどういうこと?

それにさっきからなんだか部屋の外が騒がしい気が…。

ドアの方へと目線を向けていると、ドタドタと複数の足音が聞こえてくる。

すると、勢いよくドアが開いた。


「「「静音!」」」「静音先輩!」

「浅井さん!」「静音様!」

「皆!?」


現れたのは、柊也、悠くん、仁、一くん。

それといつきくんと凪さんもいる。

どうして皆がここに来たんだろう。

しかも、なにやら慌ただしい。

ますます状況が読み込めなくなってきた。


「驚きました。本当にここまで来れるとは…」

「柚希?なんでお前がここにいるんだ?つーか静音はなんでそんな状態に!?」


一くんがそう質問すると、柚希ちゃんはクスリと笑う。

どうやら柚希ちゃんがいることは知らなかった様子。