ようやく2階の半ばまで来れた。
なぜかここに来るまで、一がほとんどカラクリを作動させた。
壁ができ、行き止まりになったり。
強風が吹き始めたり。急に段差が出てきて、躓いて転んだり。
階段が坂になって滑り落ちたり。
進むにつれ、仕掛けもハードになっていく。
時間と体力を奪われるばかりだ。
「若、いい加減にしてくださいよ…」
「だーかーらー俺様はわざとやってるわけじゃ…」
カチッ。
嫌な音がする。
「一先輩…また…」
「うっ…なんで俺様ばっかり…」
「次は何が…」
「伏せてください!!」
いつきは一を押し倒し、俺らもとっさに伏せる。
ガッとなにかが刺さった音が聞こえ、ゆっくりと後ろを振り返ると、壁には矢が刺さっていた。
すぐに立ち上がり、いつきは壁に刺さった矢を引き抜く。
「本物…ですね」
「え……いつき先輩、冗談ですよね…?」
「いえ。冗談ではありません」
本物の矢ってまじかよ…刺さったら怪我どころか最悪死ぬ。
『命の保証はありません。』とは書いてあったが、まさか本当に殺す気なんじゃないだろうな。
いつきは引き抜いた矢を折り、捨てる。
そして一を立ち上がらせ、担いだ。
「いつき、急に何だ!?おろせ!!」
「帰りますよ、若」
「帰る!?静音をまだ助けてないだろ!!さっさとおろせ!!」
「駄目です。俺は貴方を危険な目に遭わせることはできません。ここまでは茶番で済みましたが、ここから先は行かせられません」
「今は俺様より静音の方が危険な目に遭ってるかもしれねーんだぞ!!だから俺様は助けに行く!!おろせ!!」
じたばたと抵抗するが、いつきは全くおろす気はないようだ。

