それに、1人の力じゃ何もできなくて後悔をして欲しくない。
誰かが手を貸してあげることで、プラスの方向に繋がるなら、たくさん頼って欲しいと思う。
「静音…」
「だから一くんも困ったことがあれば迷わず私を頼っ…わっ!!」
「おっと…大丈夫ですか?」
電車が止まった衝動でバランスを崩し、倒れそうになった私を後から支えてくれた人。
「いいいい、いつき!?」
「若、車内なので静かにしてください」
いつきくんだ。
注意をされ、とっさに手で口を押さえる一くん。
そして少し距離をとった。
「な、なんでここに…!?」
「なんで、って…ずっとついてきていましたから。ね、浅井さん」
「うん」
「ちょ、ちょっと待て。どーいうことだ!?」
待ち合わせ場所の月桜の校門前に一くんが走ってきた時からいつきくんはいた。
私と目が合うと口の前に人差し指を立て、「しーっ」と合図をしたのだ。
行きの電車に乗った時も、ファミレスにいた時も…
実はいつきくんはずっといて、それを私も知っていたのだった。
きっと一くんの事が心配なんだろう。
「若、帰ったらどうなるかわかっていますよね?」
「なっ…!!静音!困った!助けてくれ!」
「これはちょっと…」
私の力ではどうすることもできない依頼である。

