駅に着くと、私の思惑通り手は離された。
良かった…知り合いにも会わずに辿りつけた。
「はい、切符。えーと…3番乗り場だね」
「ありがとな」
そうして改札を通り終えた瞬間、また私の手は捕まる。
「あの…一くん?」
「なんだ?」
「だから手…」
「手がどうした?」
「繋ぐのはちょっと…」
「駄目か?」
「駄目というか…うん。まぁ…」
一くんはきっと頭にはてなマークを浮かべている。そんな顔だ。
「デートなのに繋がないのはおかしくないか?」
「大丈夫。おかしくない」
「うーん…やっぱりおかしいと思うぞ」
「いや、おかしくない」
「うーん…静音がそこまで言うなら……。俺様は繋いでたいけど仕方ない」
不服そうだが、やっと離してくれた。
一くんはホームの椅子に座ると携帯をいじり始める。
時間的にはあと1分くらいで来るのに。
「一くん、もう電車来るよ?ほら」
電車の時刻案内板と時計を見せる。
が、腕を引っ張り、隣の椅子に私を座らせる。
「どうせ10分くらい遅れるだろ」
「どうして?」
特に遅延の標記やアナウンスはなかったはず。
並んでいる人達もいるし。

