柚希ちゃんは「すみません、つい…」と謝ると、隣に座る。
「で、どうして泣いているんですか?」
「いや…特に深い意味はないよ」
あらすじ読んだだけで泣いたとは言えない。
こんなに心配してくれているのにこんな理由は言えない。
「だから大丈夫」
「本当ですか?本当に本当に大丈夫なんですか!?」
「う、うん。大丈夫だから…!」
また顔が物凄く近いよ柚希ちゃん…!!
そして強く手を握られている。
「ここ2人しか座れないんですけど」
「あ、悠くん。おかえり」
両手に缶を持ち、顔を覗かせた悠くん。
柚希ちゃんはじっと悠くんを見た後、立ち上がった。
「降りるので、退いてください」
そう言われ、一度降りた後、柚希ちゃんと交代で登った。
下を見ると、柚希ちゃんは先程とは違いにっこりと笑顔で手を振っている。
「では、先輩。またお話しましょう」
「うん!ごめんね、柚希ちゃん。またね」
きちんと一礼し、去って行く。

