栗原は突然、上靴を脱いだかと思えばソファの上に立った。
そしてそのまま俺を見降ろしながらにっこりと笑う。
何が始まるのかわからねぇが…嫌な予感。
「最終手段ね」
「は?」
「えいっ!」
「は!?」
一度軽くその場で飛び、次は此方へと手を広げ向かって飛んでくる栗原。
すぐに腕が俺の頭を捉え、膝の上に乗り、俺の目の前に栗原の顔が現れた。
突然の事すぎて、避けることも、ましてや構えることも出来ず、背中から傾いていく。
「あっ…ぶね!!」
前側に思いっきり重心をかけ、なんとか免れる。
危うくソファごと倒れるところだった。
「きゃーっ♡柊也に押し倒されちゃった♡」
代わりにバランスが取れず、こんな状況へとなってしまった。
「押し倒してねぇ。つか急に飛びつくなよ危ないだろ!そして手を離せ!」
「もう一生ないシチュエーションだもの。満喫しなきゃ♡」
「意味わかんねぇこと言ってねぇでさっさとはな」
「何してるんですか」
なんとか顔だけ振り向くと、そこには宮井が立っていた。
目が怖い。そしてとんでもない誤解をされた気しかしない。
「柚ちゃん助けてぇ~柊也に押し倒されちゃった~」
「はぁ!?宮井、わかってるだろうが違うからな」
「では早く退けばいい話じゃないですか?そんな状況で言われましても」
「いや、栗原が手を……」
離してくれない、と言おうとしたが言えなかった。
いつの間にかがっちりと俺の頭を捉えていた手は離されていたからだ。
こいつ…いつの間に。

