数時間ぐらい経っただろうか。
ようやく残り10ページ前後となった。
意外に厚いなこの本。
『絶対感動するから読め!』と凌久は書いていたが、結局感動といえる程のものではなかった気がする。
まぁ俺が冷めてるって可能性もなくはないが。
「あー柊也先輩いたいた。お疲れ様でーす」
「お疲れ様です、一ノ瀬先輩」
「お疲れ」
入って来たのは悠と吉野。
時計を見ると19時前となっていた。
…結構経ってたんだな。
10月で少し肌寒くなってきた時期なのだが、悠は腕を捲り、手で顔を煽いでいる。
部活終わりだからか。
「ん?何読んでるんですか?てか柊也先輩が小説読むなんて珍しい」
「凌久から貰った。暇だったから読んでただけ。もう終わったけど」
「凌久さんから?」
「あ。これって最近話題のやつですよね?もうすぐ映画化とか…」
「吉野、知ってるの?」
「うん。っていうかこの前、悠も本屋で見たよねPOP」
これ映画化まで決まってる話題作だったのか。知らなかった。
改めて帯を見てみると、『話題の感動作!ついに映画化決定!!』とお決まりのフレーズが書いてある。
来年の春公開ってまだ先だな。
「そういえば悠、伝言は?」
「そうだった。さっき職員室で仁先輩と静音先輩に会って、「遅くなりそうだから先に帰っていい」と伝言を頼まれました。てことで一緒に帰りますか」
「そうだな」
立ち上がり、本を鞄へとしまおうとすると、悠の手が伸びてきた。
「俺も読みたいんで貸してもらっていいですか?」
「あぁ。はい」
「悠、読みたかったんだ」
「まぁ話題作ってなんか気になるじゃん。ちなみに、感動しました?柊也先輩」
「うん…まぁ…してはない」
「え。まじですか…話題の感動作なのに?」
「あぁ…話題の感動作なのに」
悠は苦笑いをし、「まぁ柊也先輩だからなぁ」と呟く。
どういうことだそれは。

