宮井は先程とは裏腹に冷静になったのか、距離を少し縮めると俺をじっくりと見てきた。
「一ノ瀬という苗字…確かに和也さんに似ている外見……そして発売前の写真集を持っている…間違いなく和也さんのお子さん…」
「ん?っていうかさっき9組って言ってたしさくと一緒じゃないんですかねクラス」
「そうだな」
そう俺と悠の言葉を聞いた瞬間、固まる宮井。
どうしたのだろうか。
「そ、そうですよね…一ノ瀬先輩の弟ですもんね一ノ瀬くんは……つまりあんなうるさいのに和也さんのお子さん…」
「やっぱりさくうるさいんだ」
「…そうみたいだな」
元気を通り越し、もはやうるさいの領域。
兄としては少しは落ち着いて欲しいものだ。
「あの…大変おこがましいというか図々しいんですけど……和也さんのサインをお願いしてもいいですか…!!」
「別にいいけど」
つーか親父に至っては喜んで書きそう…想像がつく。
宮井はぱあっと笑顔になると、問い詰めてきた時と同様に距離を更に縮め、手を強く握ってきた。
「有難うございます!!前々から思ってたんですが一ノ瀬先輩はやっぱりとてもいい人ですね!!」
「いやー良かったですね、柊也先輩。先輩のデレの部分を知ってる人が増えて」
「意味わかんねぇよ」
「これから仲良くさせてください!えっと…いっちー先輩!」
「だからとりあえず手を離せ」
それよりも前々ってとこが気になる。
初対面だと思ってたんだがやっぱり違うのか?
だが、どう考えても顔にも名前にも見覚えがない。

