柊也は鍵盤上に指を置くと、ゆっくりと弾き始めた。
曲は多分、桜達に頼まれた曲。
バラード系で平穏な曲調。
聴いていると落ち着く音色。
やっぱりこれはあの人と…そして私の……
「おい、こら。寝てんじゃねぇよ」
「え」
「弾き終わってお前見たら寝てるし、ちゃんと聴いてたのかよ」
「寝てないよ!?目を瞑ってただけだって!」
若干うとうとしたのは事実だけど…
「その…なんていうか…凄く落ち着ける音色だったから」
「落ち着ける音色、な…」
「っていうか柊也、失礼だけど本当に弾けたんだね」
「まぁ…な。柄じゃねぇけど。…あー…で。3つ目だけど」
「うん?」
なんか言いにくいことなのか…
目を逸らし、口籠っている。
なんだろう…逆に気になってくるんだけど。
「あーいたいた。しーちゃん、しゅう」
「あっ。鬼塚さんと榊くん」
「これから凌久の誕生日会を講堂で始めるから2人も呼んで来いって桜が」
「凌久くん、今日誕生日だったの?」
「そうだよ。静音には言ってなかったっけ」
初耳なはず。
というか凌久くんなら自分から「もうすぐ誕生日だから何かくれよ!」的なこと言いそうだし、本人も忘れてる感じかな。
「というか俺ら邪魔したか?2人でいたけど」
「いや別に」
「柊也、3つ目はいいの?」
「もういい。気にするな」
「何なに?しゅう、3つ目?」
鬼塚さんは「怪しいなー」と問い続けるのだが、柊也は無視して講堂へと向かっていた。
良かったのかな3つ目。

