「…俺、自分でもわからないけど、柊也先輩に言われて変われそうって思ったんですよ」
「なんか変な感じですけど」と付け加えると、可笑しそうに笑った。
やっぱり柊也は根は優しい気がする。
表面は無愛想で冷たいけど。
「っていうか…今、何時なんですかね?」
「うーん…9時過ぎくらい?」
家を出たときは8時くらいだったし…それから場所はよく分からないけど、ここに連れて来られて、話して……
……誰か助けに来てくれるのかな。本当に。
段々不安になってきた…。
「静音先輩?」
「へっ!?」
「泣きそうな顔してたから…大丈夫、じゃないですよね」
「だ、大丈夫!大丈夫!」
こういう時に心配かけちゃ駄目だよね。
どうにかして私が助けなきゃ。これでも年上なんだし。
とりあえず縄を解く方法だよね…。
切る物ないし、そもそもあったとしても手が使えないんだけど。
………やっぱり助けがくるのを祈るしか…
ガタッガタッ!!
後ろから物音が聞こえる。
振り向けない…
「なんか音、しますよね?」
「うん。するね…」
「小動物か虫、ですかね」
確かに、ここには私と悠くん以外、誰もいないし。
そう思った時、肩に何かが触れた。
「きゃむぐっ……!!」
「しーっ!静かにしてください」
首を縦に振ると、口を塞いでいた手を放してくれた。
「お前…」
悠くんは、驚いた顔でその子を見た。